『成年後見人の役割について、評価方法が変わります(裁判所への報告内容の変更)』

 

 成年後見人等が毎年行っている家庭裁判所への執務報告の内容が今年令和7年4月以降変更されます。

 成年後見について余りなじみがないという方も多くいらっしゃるかもしれませんが、後見は誰にとっても必要となりうる制度であり、今回の変更はこの制度を担う後見人の役割に関する評価の方法が大きく変わる可能性のあるものとなっています。後見人って何をするのか良く分からないなという方にも是非お読み頂ければと思います。


 成年後見人等というのは、認知症などで判断能力が不十分な方(被後見人等)の代理人となって、財産の管理や、医療・介護等の契約を締結したりして、被後見人さんが安心して生活していけるよう手助けする役割を担っています。
 後見人等の報酬は、ご本人の財産状況や、後見人の仕事量などに応じて家庭裁判所が決定し、ご本人の財産から支出する形となっています。

 ⇒後見人が自らの報酬を勝手に決めることはできません!

 先程も少し触れましたが、後見人の役割としては大きく分けて、財産管理と身上監護があります。ご本人の健やかな生活を担保するためには財産がしっかりと保全されていることが欠かせませんので、この2つの役割は等しく重要な役割であると言えます。⇒成年後見人等の役割は財産管理と身上監護が両輪!
 しかし、これまで、後見人の働きを評価するために家庭裁判所から求められている報告(後見人等は年一回、ご本人の誕生月に家庭裁判所に報告する義務があります)の内容としては、財産管理に関する内容が主でした。
 これは、後見人等によるご本人の財産の使い込み、横領等を防ぐという目的からは合理的と言えると思います。

 ⇒今までの裁判所の役割は横領等の監視が主でした。


 身上監護は、ご自身の意思を他者に伝えるのが難しかったりする方の意思を汲取り、その希望を最大限実現できるよう、ご本人の財産や社会資本の活用をしていくという、難しいながらも、ご本人が充実した人生を過ごすためには欠かせない大切な役割です。
 しかし、この身上監護の面について報告が求めらない=報酬の額に殆ど影響しない。ということから、とりわけ専門職後見人において、財産の管理にばかり目が行って、身上監護がおろそかになってしまうということの誘因となりかねません。

 そこで今後、年一回の定期報告の際に身上監護についての内容が追加して求められることとなりました⇒令和7年4月以降定期報告の内容が変更
 具体的には後見人がご本人やその関係者とどのように面会等を行い、生活状況の確認や、今後の生活にかかわる様々な決定に関する意思疎通を行っているのか、その頻度や態様に関して報告が求められます。
 後見人としては、単純に報告書の分量が増すため、作業が増えて大変だなと思う反面、これまで裁判所に評価され難かった、日々の様々な役割が評価されるようになると考えると、職務へ取り組む意欲が新たになる心持です。

 ⇒より一層身上監護に努めます!

 また、このように重要度を増す身上監護ですが、その内容から当然、ご本人との信頼関係が必要になりますし、人生背景を知っている方が有利であると言えます。つまり、親族後見人の方がこれまで以上に増えることが期待されているのではと思います。

 ⇒親族の方が後見人に就くことが望まれるケースも増えるかもしれません。

 司法書士としては、成年後見人に就任するほかにも、後見開始申し立てのお手伝いをすることや、後見監督人になるなど、親族後見人の方を支える形での、様々な携わり方がありますので、成年後見等が必要かなと悩まれることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

 ⇒成年後見が気になったら司法書士にお気軽にご相談ください。

2025年02月13日