衛藤司法書士事務所のブログを始めました。
最新の法改正や日常生活に関わる法律の知識についての情報提供から,日々業務する中での雑感のみならず,お薦めの図書など,趣味に関することも書いていきたいなと思っています。
時間の許す限り頻繁に更新していけるように頑張りますのでまた覗きに来て頂ければ幸いです。
上の写真は今年お花見に行った際の一枚です。満開に咲き誇る花々の下で,ひっそりと,でも凛として咲いている姿に心惹かれました。私もこの花のように,目立たずとも凛とした芯のある司法書士を目指します。
亡くなった方の財産を処分したり,負債を清算したりする一連の手続きの事です。
具体的には,不動産などの名義変更,預貯金等の解約,年金等の届出,確定申告・相続税の申告等の手続きなどがあります。
まず第一歩として,市役所や区役所,町役場などで相続手続きに必要な戸籍を収集します。
亡くなった方の戸籍を調べ,相続人が誰なのかを確認し,証明するための資料集めの手続きです。
・亡くなった方(被相続人)の出生時から死亡時まで全期間の戸籍
本籍地を変更したり,婚姻したりした場合,新たな戸籍が作られます。それまでの戸籍は閉鎖され『除籍』と呼ばれるようになります。相続手続きにはこの『除籍』も必要となりますので,被相続人によって,必要な戸籍(除籍)の数は変わってきます。
・被相続人の最後の住所地が証明できる資料
被相続人の方の住民票の除票又は戸籍(除籍)の附票
※場合によって,遡って住所の証明が必要な場合もあります。
・相続人の現在の戸籍
相続人の方が,被相続人が亡くなった時に存命だったことを証明するための資料となります。
・相続人の印鑑証明書
遺産分割協議が成立した場合や,金融機関での手続きで必要となりますので,予め取得しておくとスムーズです。
戸籍は本籍地を所管する役場毎に編纂されているので,被相続人の方の本籍地が転々と移動している場合には各地に請求するだけでも大変です。
もちろん,郵便で請求することは出来ますが,郵便小為替を同封したり,必要な戸籍等を文面で指定するのは結構大変です。
司法書士に頼むと?
戸籍の代理取得をご依頼いただくことができます。平日に役場に出向いたり,郵送したりする手間も無く,手軽に手続きを進められます。
(実費の他,請求通数に応じた報酬を頂いております)
戸籍を集めていくと,大昔の戸籍が必要になってくることが多々あります。古い戸籍が大変なのは手書きだから。端正な筆致から,磊落な達筆まで,当時の担当者の人柄が窺い知ることができますが…クセが強く判読しがたいものが多いのが事実(個人の感想です)特に大正や明治時代の戸籍ともなると殆ど古文書と呼んで差し支えないレベルです。
文字の判別も困難なら,書かれている内容自体も専門用語や戸籍特有の言葉遣いで容易く意味を読み解くことは出来ません。
司法書士に頼むと?
当事務所では,古い戸籍の調査収集の経験が豊富にあります。ぜひコツを知る私たち専門家にお任せ下さい。
相続人が配偶者と子供だけといった単純なケースでは相続人を特定することはそれ程難しくないかもしれませんが,子供がいなかったり,何世代も前の方の相続だったりというケースでは相続関係を読み解くのは民法についてかなりの知識を要します。
相続人である人を見落として遺産分割協議を行った場合,当然協議は無効ですので改めて手続きしなおす必要が出てきてしまいます。
司法書士に頼むと?
司法書士は相続の専門家です。相続関係について的確に判断し,相続関係説明図を作成いたします。そのため,相続人の方達は安心して遺産分割協議を進めて いただくことができます。
亡くなった方名義の財産を調査します。
調査漏れの財産があると再度相続手続きをする 必要が出てくる場合もありますので,網羅的に調 べておくことが大切です。
場合によっては,負債が明らかになり『相続放 棄』の手続きを検討する必要が生じることもあり ます。
相続放棄には期限がありますので,早めに財産 の調査に着手することが肝心ですね。
主な方法として,不動産の所在する市区町村役場にて,固定資産税の名寄をするという方法があります。各市区町村で手続きの名称,費用等が異なります。詳 しくは当該の市区町村にお問い合わせください。
名寄をすることによって,その市区町村に所在する被相続人名義の不動産を網羅的に調べることができます。また,毎年送られてくる固定資産税の課税明細書と違い,非課税の不動産についても調べられますので,公衆用道路や墓地といった非課税地目の土地について相続手続きを漏らしてしまう心配がなくなります。
各金融機関毎に照会する必要があります。
もちろん,全国全ての金融機関に問い合わせていては大変な手間ですので,被相続人の方が持っていた通帳やキャッシュカード,郵便物などを基に当たりをつけて調べていく事とになります。お住まいだった地域に在る金融機関については調べてみる価値があるかもしれません。
照会方法については各金融機関によって異なりますので詳細については照会先の金融機関にお問い合わせください。
上場企業の株式は全て電子化されており「ほふり」(証券保管振替機構)の口座にて管理されていますのでこちらに問い合わせることで調査できます。
亡くなると借金の返済が滞ることになりますので,多くの場合,債権者から督促が来ることになりますので,これを待つというのが一つの方法です。故人の郵便物の中に督促状などが無いか調べることも大事ですね。
また,ある程度確実に借金があったと思われる場合には,信用情報機関に借入状況の開示請求をするという方法もあります。
殆どの貸金業者は以下の3つの信用情報機関のいずれかに加盟しており,借入額,返済状況などの信用情報(いわゆるブラックリスト)を共有しています。
各信用情報機関に開示請求することによって,その機関に加盟している貸金業者からの借入の有無・金額等が分かります。
・全国銀行協会(銀行系)
・日本信用情報機構(JICC)(消費者金融系)
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)(クレジットカード系)
債務の額は,相続放棄をするかどうか判断するため一番大事な部分ですので出来るだけ速やかに調査するようにしましょう。
相続人と相続財産が確定したら,相続人全員でどのように財産を分割するのか協議を行います。
相続財産全体を一度に協議することも,財産毎に協議することも可能です。
例えば,現預金などの分けやすい財産から分割するというケースもあります。
話し合いがまとまれば,合意内容を書面にした『遺産分割協議書』を作成し,相続人全員が実印で押印します。
亡くなった方が遺言を書き遺していた場合,原則として相続財産はそこに記された通りに分けられることになりますので遺産分割協議は不要です。
この場合,相続登記等も遺言を添付して手続きすることになります。
ただし,遺言の中で分け方が指定されていない財産などがある場合,その財産については遺産分割協議が必要になります。
相続に関して,亡くなった方の意思は最大限尊重されるべきですが,相続人全員及び,遺言で財産を遺された方(受遺者と言います)の同意があれば,遺言の記載と異なる内容で分割協議を行う事も可能です。
遺言の内容が余りに偏っている場合や,遺言のとおりに相続すると,思いがけず多額の贈与税が掛ってしまう場合などにはこちらの方法を検討する価値があるかもしれません。
司法書士は,協議自体に代理人として関わるようなことは出来ませんが,財産の分け方についての提案等を通して,相続人の皆さんが納得できるよう力になれます。
また,疎遠な相続人の方が居る場合など,協議をするのが難しい事由がある場合に協議を進めるお手伝いをいたします。
(※遺産分割に関して相続人の間で争いが生じた場合には対応を弁護士に引き継いで辞任しなければならなくなる場合もありますのでご了承ください)
話合いがまとまった場合,その合意内容をまとめた『遺産分割協議書』を作成する必要があります。これは,この後の各相続手続きに必要になる重要な書類です。
この協議書の文面については司法書士が起案いたしますので。相続人の皆様は協議書の内容を確認して署名押印することで協議書が成立しますので,法律に関する専門知識が無くても手軽に有効な『遺産分割協議書』が出来上がります。
(※司法書士が遺産分割協議書の作成を行うのは相続財産に不動産が含まれる場合に限ります)
遺産分割協議の内容を実現するため,相続財産毎に相続 手続きを行います。
主な財産の相続手続き
不動産:法務局にて登記手続き
預貯金:各金融機関で解約手続き
上場株式:「ほふり」にて名義変更手続き
司法書士は不動産登記・相続登記の専門家です。不動産の相続に関する手続きを安心してお任せいただけます。
相続登記をご依頼いただいた方にはオプションで預貯金・株式等,金融機関における相続手続きの代行をご依頼いただけます。
「平日に仕事の休みが取れない…」
「金融機関ごとに色んな手続きがあって調べるのも大変そう…」
そんな悩みを抱えている方に特にお薦めです。
(不動産の手続きが進み途中からご依頼も可能です。お気軽にお申し付けください)
ここまで見てきたように相続手続きは多岐にわたりますが,中でも一番の障害となりかねないのが相続財産の分け方を相続人間で話し合う『遺産分割協議』です。
仲が良かったはずの家族がまさか遺産の分け方で争い,仲たがいしてしまうなんて…決して他人事ではありません。
そうならないように,今できる備えの一つ。それが『遺言』を書き遺す事です。
①あなたの想いを伝えられる
相続は,あなたが築き,守ってきた財産を次代に委ねる事。その財産を,どんな想いで,どんな意図で,どのように相続してほしいか,それを伝えることにより,のこされた相続人の方達が相続の仕方に納得しやすくなる事でしょう。
②手続きの手間を省ける
遺産分割協議に基づいて相続手続きを進める場合,相続人全員が『協議書』に実印で押印する必要があります。相続人全員が近所に住んでいて気軽に集まれる場合は特に問題はありませんが,遠方に住む相続人がいたりする場合には意外に手間取ることがあります。
それに対して,遺言書に基づいて手続きを行う場合には,協議書を作成する手間は無く,スムーズに手続きを進められます。
③法定相続人以外にも財産を遺せる。
法定相続人ではないけれど,お世話になった方や,支援が必要な方に財産を遺すには遺言書を書く事が有効です。例えば先に亡くなったお子さんの配偶者の方など相続権の無い方に財産を遺すことができます。
遺言書の様式には主に『自筆証書』と『公正証書』があります。
自筆証書遺言:遺言の全文を本人が自書し署名押印する
メリット:手続きが簡便
デメリット:誰のチェックも入らないので要式を満たしているか不安
失くしたりしないかが不安
相続の際に検認手続きが必要になる
公正証書遺言:遺言の内容を公証人に伝え,本人と証人が署名押印する
メリット:公証人のチェックが入るので有効性に関し信頼性が高い
公証役場で保管されるので安心
デメリット:費用が掛かる
公証役場に行く手間が掛る
というように,どちらの様式にも一長一短がありますが,信頼性の面から基本的には公正証書遺言がおススメですが,遺言は,自分や周りの家族の状況に応じて,何度も書き直す可能性のあるものです。費用や手間についても無視できません。そこで新しくできた仕組みが『自筆証書遺言の法務局保管制度』です。
法務局保管制度:自筆証書遺言を法務局に預ける
メリット:費用が安い
法務局のチェックがあるので要式の不備については安心
検認が不要
デメリット:法務局に出向く手間がかかる
新しい制度なので知名度が低い
自筆証書遺言の簡便さと,公正証書遺言の信頼性を兼ね合わせたような制度となっ ていますので,今後利用が増えていくものと思われます。
どの様式で遺言を書くにせよ,どんな内容の遺言を書くか,あるいはどんな内容は避けた方が良いのかなど,専門家に相談することが争族を防ぎ,思い描いた相続を実現するための重要なステップです。
遺言は未来への手紙。 あなたの想いを書き遺しましょう。